インタビュー 伊丹スーパーフェニックス

伊丹スーパーフェニックス 選手インタビュー

伊丹スーパーフェニックスが挑む“日本一”と地域共生|
車いすバスケの魅力と未来を語る

当社は2023年から車いすバスケチーム『伊丹スーパーフェニックス』のスポンサーになっています。今回は、当社社員でもあり、伊丹スーパーフェニックスの主力選手でもある堀内翔太さん(以下、堀内)、川上祥平さん(以下、川上)、青山結依さん(以下、青山)の3名にお話を伺います。

車いすバスケチーム『伊丹スーパーフェニックス』の持つ魅力と、その活動の価値を是非インタビューから感じてください。

1986年創部!40年の歴史を持つ伊丹スーパーフェニックスとは?

伊丹スーパーフェニックスとは、どのようなチームですか?
堀内
1986年に設立された歴史のあるチームで、最初は2人で創部し、そこから徐々に広がってきて今は25名のメンバーが所属しています。大会には選抜されたメンバーが出場し、日本一を目指して戦っています。
もうすぐ40年になるのですね!
堀内
最近は若いメンバーも増えてきています。中学生から還暦を迎えた人まで幅広い年代の人が所属していることや、個性豊かなメンバーばかりであることがチームの特徴ですかね。いろいろな意見もでたりしますし、そこがチームのいいところだと思います。
青山
ほかの車いすバスケチームの中には、だんだんと人数が少なくなっているチームもある中、伊丹は若手のメンバーがすごく増えていて、その中でも日本代表に入るような選手がいたり、経験のある方がいたり、お互いに刺激しあいながら切磋琢磨して、モチベーション高く取り組めるチームになっています。

「上を目指したい」想いを叶える車いすバスケの魅力

それぞれ、伊丹スーパーフェニックスに入ったきっかけを教えてください!
堀内
もともとは奈良のチームでプレーしていたのですが、近畿選抜として参加した大会がすごく楽しく、上を目指して戦いたいと思うようになりました。そのときに一緒にプレーしていた伊丹スーパーフェニックスのメンバーともっと一緒に戦いたいと思ったことがこのチームに入ったきっかけです。
川上
僕も「上を目指したい」という思いがこのチームに入ったきっかけです。伊丹スーパーフェニックスは、これから強くなりそうだという思いもあり、当時所属していたチームから移籍する形で加入しました。
青山
私は大学生のときに高知県で車いすバスケを始めたのですが、卒業後も競技を続けたいと思い、地元の兵庫県に帰ってくるタイミングで伊丹スーパーフェニックスの練習に参加してみました。当時キャプテンだった堀内さんからの熱烈に勧誘されたことも加入の大きなきっかけですね(笑)。
車いすバスケ自体を始めたきっかけは?
青山
大学2年生のときに、新型コロナウイルスの流行の影響もあり、「もう少し体を動かしたいし、コミュニティを広げたいな」と考え、”スポーツ”に取り組んでみようと思ったのがきっかけです。高知県の障がい者スポーツセンターから陸上とバスケを勧められたのですが、日焼けをしたくないなという単純な理由でバスケを選びました。

やり始めるとすごく楽しくて、続けてきた結果ジュニア日本代表にも選ばれる経験もできていますし、仕事の面でもアスリート雇用など将来の可能性の広げてくれたものだと感じています。
川上
僕が車いすバスケを始めたのは、入院していた病院のすぐ隣に体育館があり、そこで練習していたチームの人から誘われて「暇だから行ってみようか」という軽い気持ちで参加したのがきっかけでした。

それまでもスポーツは部活動で取り組んできましたが、“上を目指そう”という思いが強くならなかった自分が、車いすバスケで初めて“日本一”を目指すチャンスが見え、それを目指して頑張ることの楽しさを感じながら続けています。
競技の魅力にはどんなところがありますか?
堀内
車いすバスケの「持ち点制」がとてもこの競技を魅力的にしていると思っています。そのルールの中でどんなメンバーが出るのか、どんな戦術をとるのか、試合中でもどう連携していくのか、という点が他のスポーツにない部分で、一人一人の役割がないと試合は成立しません。
青山
障がいの度合いによって分かれているクラスは、私が1.0、川上さんが2.0、堀内さんは4.0というように差があります。そんな中でも一緒にプレーできるというものおもしろいポイントですし、クラス1.0だからこそできる仕事があり、“自分だからできること”を学んで磨いていくことに楽しさを感じています。
川上
それぞれ個人でも練習しているのでチーム練習は全員一緒にやりながら合わせていくような形になっています。個性の強いチームなので、合わせる作業はとても重要なんです(笑)。

地域とつながり、伝える機会の大切さ

伊丹スーパーフェニックスでは、地域貢献活動にも力を入れていると伺いました。どのような活動をされているのですか?
堀内
地域の学校を訪問し、車いすバスケ体験や講話を行ったりすることが多くあります。また、伊丹市のバスケットボール協会と連携して、3×3の大会や中学・高校の試合に主催者側として参加し、窓口などの運営ボランティアを行っています。
そうした活動から、のちのち伊丹スーパーフェニックスのマネージャーになってくれた子もいますし、伊丹杯という年に1回の大会に、私たちが訪問した学校の生徒が遊びに来てくれることもあります。こうした形で地域の人たちとの“つながり”ができることは、活動をしていてとても嬉しいことですね。
その日だけでなく関わりが続くということは、伊丹スーパーフェニックスの体験が本当の意味でいい影響を与えられているのですね。
青山
こうした活動を通じて、車いすバスケの魅力を伝えていく経験や、自分が講師として何かを伝える経験をすることができ、回数を重ねるにつれて“こんなことを伝えたい”というのが少しずつ定まってきました。
どのようなことを伝えているのですか?
青山
たとえば、視力の悪い人がいたらメガネをかけたり、前の席に座らせてもらったりしますよね。それと同じで、車いすもメガネのように、“不得意なことができるようになるための道具”だと思いますし、「かわいそう」ではなく、「どういう手伝いをしたらみんなと一緒にできるだろう」と考えてもらえたら嬉しい、というような話をとくに子どもたち向けにはしています。
川上さん、堀内さんはいかがですか?
川上
人には得意不得意があるので、“なにかができない”という見方ではなく、“なにかができなくてもこれはできる”というように、いいところを見つけてあげてほしいと伝えています。自分自身、車いすに乗るようになって、他人のいいところを見つける機会が増えていますし、そうしていくことでみんなが幸せになれるのではないかなと思っています。
堀内
正直、私自身障がいを負って初めて「こんなに車いすの人がいたのか」「意外と義足の人も多いんだな」と気づくようになりました。見ていないというわけではなく、意識してなかったのだと思います。子どもたちにも、そうした“気づき”を増やす機会を作れればと思いますし「なんで?」と疑問を持ち自分自身の視野を広げるような意識を持ってほしいなと思います。そうしたことが小学生のときからできていたら、どんないい大人になるんだろうと思いますよね(笑)。
自分たちの活動の価値を感じられる場面はありますか?
堀内
親子イベントに参加したときに、「子どもとの会話が増えた」と言っていただけることがよくあります。大人の方ができるという場面が普段の生活では多い中で、大人も子どももお互い初めての“車いすバスケ”をすることで、一緒のスタートラインに立って親子で取り組むことができますよね。
青山
「車いすの人と初めて話した」という声もいただくことが多いです。こうした形で接する機会をつくるのは非常に大事なことだと思っていて、とくに大人になると変に気を遣ってくれたりする人も多いです。でも子どもたちは素直にフランクに接してくれます。私たちと一緒に過ごし、身近に感じてもらう経験をすることで、そうした優しい心を持ち続けられるようなきっかけになればいいなと思っています。

そうした地域の方々のマインドづくりには貢献できているのではないかなと思います。
大人たちの見方が変わることも大きいですね。知らないということが一番こうした対応でよくないことなのかもしれませんね。

パートナー企業の想いも背負って目指す“日本一”のチーム

東テクのような、パートナー企業からの支援があることについてどう感じていますか?
堀内
東テクに私が入社し、チームのスポンサーをしていただく以前から「堀内翔太の横断幕を作ろう」とか、試合やイベントの動員に社員の方がたくさん動いていただいていて。試合中も応援していただくことが大きな力になりますし、挨拶に行ったときに社員の皆さんの顔が見えると本当にありがたいなと感じますね。

また、資金面のパートナーシップも本当にありがたいです。車いすバスケを競技として取り組むためには『競技用車いす』が1人1台必要になり、それらは国からの補助などは対象外となります。1台あたりの値段も高いものですし、最初はチームメイトに借りながら、お金を貯めて購入することも多いです。
移動や遠征なども含めて、資金的に競技を行うハードルは高いものになっているので、東テクをはじめとした企業さんからのご支援は本当にありがたいですね。
青山
ユニフォームや練習着にパートナー企業の名前が入ることで、自分たちの背筋も伸びますよね。企業の看板を背負って戦っているなと思いますし、責任のようなものも感じます。
川上
これまで車いすバスケを応援に来てくれる人はなかなか少なかったのですが、パートナーとして応援することで観に行こうと思ってくれる人が増えるのではないかと思っています。それは本当に嬉しいことですし、あとはシンプルに企業のロゴが入るとユニフォームがかっこよくなって個人的には嬉しいです(笑)
これからの目標を教えてください!
青山
個人的には、日本代表につなげるために上のレベルの強化指定選手になることを目標にしながら、国際大会や海外の大会でプレーできるように頑張りたいです。
川上
私はロサンゼルスパラリンピックの出場を1つの目標にしています。人から見ていただけるような大会で活躍できるようにしたいです!
堀内
私もパラリンピックのメンバーに入ることも目標におきつつ、2026年には名古屋でアジアパラが開催されるので、その大会に出場できるように頑張ります。
チームとしての目標は?
堀内・川上・青山
毎年冬に行われる天皇杯優勝です!


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