エネルギー事業

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第2弾 北日本計装株式会社(東テクグループ会社) 本社ビル ZEB化事業

進展するZEB化の潮流

最近、エネルギー関連のキーワードとしてよく耳にする「ZEB(ゼブ)」。これはZero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略で、簡単に言えば“エネルギーをできるだけ消費しないビル”のことです。

地球温暖化の抑制に向けて、日本全体でエネルギー消費量の約3割以上を占めるオフィスなど民生部門において、省エネが強く求められている昨今。その具体策として政府が推進しているのが、建物の運用で消費する一次エネルギーを省エネ設備・技術の導入や再生可能エネルギーの利用により限りなくゼロにしようという「ZEB化事業」です。導入する際、補助金制度などの後押しもあり、ビル(オフィスを含む)のZEB化に向けた動きがいま全国的に加速しています。

そうした中、東テクでも2010年より「ZEB化ソリューションサービス」の提供を開始しています。そのフラッグシップともいえる事例第一号が、北日本計装株式会社 本社ビル ※写真参照(青森県八戸市)です。東日本大震災で大きな被害を被った旧社屋から移転し、新設されることとなった本社ビルをZEB化するというこのプロジェクト。もともと寒冷地で冬季の空調用化石燃料の使用量が大きかったことから、新社屋はオール電化とし先進の省エネ設備の導入が計画されました。

細やかなデータ解析で “オーダーメイドなZEB化”を実現

しかし、そこには大きな課題も。施工段階で社屋の天井部が東テクの推奨する空調システムを導入できない仕様であることが判明したのです。そこで改めて、空調管理の運用効率やコスト面のメリット・デメリットを精査し、天井部の一部改修を提案。それがより効率的であると理解いただき、見直しが図られたことで計画通りのシステムを実装することができました。

また、実際に導入して間もなく、月ごとの電力使用状況を解析してみると、ある箇所で異常な電力ロスを発見。詳しく調べてみると、それは屋上に供えられた融雪システムの過剰な作動だと判明したのです。その他にもこうした日々のモニタリングによる細やかな解析・チューニングで運用効率の改善を図ることができました。

それが功を奏し、エネルギー削減率は初年度の当初目標であった56.6%を大幅に超える71.9%に。さらに次年度には75.1%の達成につながったのです。この結果は、もちろん東テクだけでなく、現場施工者や施設の管理・担当者さまとの密なやり取り、協力関係・信頼関係があったからこそ。BEMSにより“見える化”されたデータ情報を東テクが解析し現場に伝え、さまざまな機器設定の微調整を繰り返しながら最適値を割り出し、“オーダーメイドなZEB化”(※ZEB化の概要参照)を実現したのです。

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